2005.01.07. 板硝子業界新年御礼会


 関西板硝子卸商業組合(濱田陽右理事長)、関西板硝子工事協同組合(境紀世治理事長)、全国板硝子商工協同組合連合会(全硝連)近畿地区本部(南正助本部長)は一月七日、「関西板硝子業界新年互礼会」を大阪市北区の新阪急ホテルで開催した。昨年に続き、卸・工事・小売りの三団体が共催。国内外の板ガラスメーカー、加工ガラスメーカー、大阪府鏡工業協同組合代表ら二十二人を来賓に迎え、百二十四人が出席した。

 昨年は五年ぶりに板ガラスの値上げが実施され、一般小売店ルートには浸透してきた。住宅メーカーやゼネコンといった大口需要家にどれだけ浸透できるかが、業界の今年の大きなテーマといえる。昨年後半からは、アジア地域での需要増などによるガラスの品不足が表面化してきており、この機会を生かした値上げの浸透が期待されている。厳しさを増す建設業界の環境下で、ガラス流通業者が連携を深める情報交換の場となった。 山田隆三工事協組副理事長の司会で、主催者を代表して境工事協組理事長、南全硝連近畿地区本部長、濱田卸商業組合理事長があいさつ。来賓の紹介後、来賓を代表して篠原辰彦旭硝子西日本第一販売チーム担当部長があいさつ。平尾和輝兵庫県板硝子商工業協同組合理事長の発声で乾杯した。中締めは谷村公二卸商業組合副理事長。

 境関西板硝子工事協同組合理事長
 昨年十一月末の国内ガラス三メーカーの決算発表は大変立派な成績で、われわれガラス流通業界もしっかりしないといけない。少なくとも、適正利潤が得られるような流通業界にしていかなくてはならない。商売は自由だが、原価割れの価格の中での競争はそろそろやめなければと思う。
 昨年末、二度にわたってゼネコンあてに工事価格是正のお願い書を出した。今年は何とか達成できるようにフォローしていきたい。値戻しをするときは業界全体が団結して、一斉に目的に向かって進まないとできない。目的達成のために皆で頑張っていきたい。

 南全硝連近畿地区本部長
 昨年は異常気象で、近畿地方でも兵庫県や京都府で被害があった。新潟県中越地震では、全硝連の組合員十六社はどが被害に遭った。各組合で義援金を募り、新年早々に渡すことになっている。
 最近は複層ガラスや合わせガラスなどが、メーカーからの完成品や卸店から原寸発注で出荷されるため、ガラス屋からガラスを切る能力がなくなってきている。技能試験の一級を受検する人が、ガラスを全然切れないという現象が起きている。「切り回し」というだいご昧、ロスがあっても小さな寸法に切り合わせができるといったことが原点。ガラス屋からガラスの切断を取ってしまうとガラス屋でなくなる。

 濱田関西板硝子卸商業組合理事長
 終戦後四十年間は経済は目覚ましい発展を遂げ、一時は世界のトップにもなったが、プラザ合意以後にバブルが崩壊するなど、戦後四十年間以上に苦労した二十年間だったと思う。いい状態のときは国の政策も変わりにくい。「今まで通りやっていれば」という状態が続く。その間に世界情勢から立ち遅れてしまう。それがこの二十年間の反省だと思う。国にとどまらず、企業、個人も同じような反省の下に立たなければならない。社会情勢とともに組合も変わっていかなければ生き残れない。
 板ガラス値上げについては、卸組合としては個々の店で対応してもらう姿勢を貫きながら、今年は柔軟に対応していきたい。この機会を最大限に生かさなければ、この値上げはうまくいかないだろう。メーカーも商品を先行受注した上で生産するなど、コストダウンの方法を考えてほしい。
 篠原旭硝子西日本第一販売チーム担当部長
 値上げは徐々に浸透してきていると思う。三メーカーの決算は好決算との発表だったが、建築用の板ガラスにとっては大変厳しい一年だった。当社は全事業の利益の半分をディスプレー事業部が稼ぎ出している。
 昨年後半からガラスの供給がタイトになってきている。スマトラ島沖の地震はまだ復興のめども立っていないが、今年秋ごろから復興の需要が予想され、供給がタイトな状況はまだ続く。建築用板ガラスをしっかり供給できるようコミュニケーションをとっていきたい。事前に物件情報や板の大きさ、厚みなど、情報を早めにメーカーにあげてもらいたい。
 白板に加え色板の供給もタイトになりそうな気配で、三月末から秋に向けての供給体制をきっちりと固めていかなければならないと考えている。

(文章・写真はガラス建装時報社 or ガラス新聞社の記事の中から使わせていただいています)